介護による退職を防ぐための企業の対策・取組み

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対策会議の様子

前回の記事では介護離職の現状について紹介をしました。最近はテレビや雑誌でも「介護離職」というキーワードは取り上げられるようになってはいますが、まだまだ自分には縁遠い出来事だと思っている人がほとんどだと思います。

しかしながら、状況は思っている以上に深刻です。これから先わずか10年ほどで、日本の65歳以上の高齢者の数は一気に数百万人増える予定です。さらに、団塊の世代がいっせいに後期高齢者(75歳以上)を迎える時期でもあります。気がついたら日本の労働者が一気に介護離職を迫られるなんて事態も、決してありえない話ではありません。

この辺りの詳細については前回の下記記事をご覧ください。

介護離職は他人ごとではない

本記事では、そのような状況に対して、企業がどういった取り組みをしているのか、具体例も交えて紹介をしていきます。

 

後手に回る企業の対応

上述したように介護離職問題は目には見えないところで進行しており、非常に危機的な事態が迫っていると言える状況です。それにも関わらず、企業の多くが、未だ効果的な対策を立てられていないのが現状です。それどころか、下記のデータからもわかるように、社員が今どのような状況にあるのかという点について把握できていない、もしくは把握しようともしていない企業が非常に多いのです。

社員の介護状況の把握

(出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング「両立支援ベストプラクティス普及事業(企業アンケート調査結果)」平成24年度厚生労働省委託事業

社員が介護を隠すことも問題

ただ、その背景には介護を抱える社員、そうした状況が近いことをわかっていながらも、社員が打ち明けていないことにも理由がありそうです。実際、介護をしている人の多く、特に男性は職場で相談しない傾向が強いようです。理由としてはやはり社内での立場の問題でしょう。介護を理由にこれまでよりも働ける時間が短くなるとなれば、会社側としても何かしらの対策をせざるを得ない場合もあるでしょう。要は昇進に響く可能性も否定できないということです。そうなると、男性としてはそのことを隠そうとする人がいても不思議ではないでしょう。この点については実際に下記のようなデータもあります。

職場で相談できるかどうか

(出所)東京大学社会科学研究所ワークライフバランス推進・研究プロジェクト「従業員の介護ニーズに関する調査報告書」

昇進できるかどうか

(出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング「両立支援ベストプラクティス普及事業(企業アンケート調査結果)」平成24年度厚生労働省委託事業

介護休業制度があることが周知されていない場合

また、企業側が何かしら対策をしていても、職場にそういった制度があることを知らなかったという場合もあるようです。これはどちらにも問題があるのでしょうが、せっかく制度があるのであれば、企業としては周知を徹底したほうがよいでしょう。

介護休業制度を利用しなかった理由

(出所)みずほ情報総研「仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究」平成21年度厚生労働省委託事業

今後、あと10年もすれば、就職活動で女性の活躍度合いや女性に関する制度についての質問が当たり前になったように、介護にどのような対策をしているかを聞かれるのも当たり前になるでしょう。その時に先進的な企業としてとらえてもらうためには、今から対策をしている企業はきっと有利になり得るはずです。

 

このように、迫りくる介護離職の危機に対して、企業の取り組みはまだ十分だとは言えません。働く社員の意識という面でも改善の余地は非常に大きそうです。このまま双方が状況を読み間違えたままでいると、突然の介護離職に至るということが頻発するのではないかと不安を覚えます。それは双方にとって大きな痛手となるはずです。国をあげての早急な対策が必要だと考えます。

 

先進的な企業の取り組み

さて、そのような中、企業の取り組みが皆無というわけではありません。大企業を中心に、非常に先進的な取り組みを行っているところもあります。たとえば、下記のような企業が積極的な取組みをしているとしてよく知られています。

  • 大和ハウス工業
  • 日立ソリューションズ
  • 大日本印刷三菱
  • 丸紅
  • NEC
  • ふそうトラック・バス
  • 三菱重工業
  • ゴールドマンサックス

下記ではそのうちいくつかの企業についての事例を簡単に紹介します。こういった取り組みが行われていることについて参考にされてみてください。

年間100時間分の介護費用を企業が全額負担

まず最初は、外資系金融大手、ゴールドマン・サックスです。ゴールドマンサックスの日本法人では、介護大手のニチイ学館と提携をして、介護利用者1人あたり最大年100時間分の費用を全額負担しているそうです。これは非常にありがたいポイントでしょう。100時間ともなれば金額的にもかなり助かるはずです。

さらに嬉しいのは、要介護認定がなくても利用できる点です。要介護認定をされていなくとも、介護が必要な事例というのは少なくありません。また、最近は要介護3以上の方が基本的に特養に入居可能など、在宅での介護をせざるを得ない場合もあるでしょう。そうした場合に、このゴールドマンサックスの取り組みは大きな力になるのではないかと思います。

親の転居費用補助、さらに社員同士の情報交換を支援

次はNECの事例です。こちらも費用面で非常に助かる制度があります。介護をするために親と同居をしようと思っても、費用面の負担から二の足を踏む人というのは少なくないはずです。そうした方のために、NECでは50万円を上限に引越し代等を補助してくれるそうです。さらに、親が要介護3以上の場合は、手すりの設置など介護環境を整える改修工事に対して一律20万円を支給する。つまりは、特養に預けなくとも、家で暮らしやすいように支援をしてくれるのです。これは非常にありがたいポイントだと言えるでしょう。

また、さすがIT系の企業というだけあって、SNSを利用した社員同士の情報交換を手厚く支援しています。介護はどうしても孤独になってしまいがちです。そうした方のために、皆が積極的に情報交換できる場所の存在は非常に貴重でしょう。現在までのところ登録者数は2000人を超えているそうです。

無期限の介護休業が可能。加えて帰省費用も支給。

最後は大和ハウス工業の取り組みです。見出しの通り、介護休業も無期限で利用できることになっているそうです。また、同時に介護短時間勤務制度についても期限がないそうです。上述したように社員の方が企業に介護の状況を言い出しづらいのは、昇進に響いたり、仕事をやめざるをえないことを恐れるがゆえでしょう。こういった無期限に休業できることが可能であれば、仕事を辞めずに介護ができるという安心感があるのではないでしょうか。

また、同社には親孝行支援制度と呼ばれるものがあります。これは年4回までであれば、帰省の際の費用を負担してくれる制度です。実家に帰るのに数万円がかかるのがもったいないから、足が遠のくという人も多いでしょう。そうした人にとっては非常にありがたい制度です。

 

 

このように、数は多くありませんが、先進的な企業による取り組みも見られます。今後、こうした取り組みが標準的になっていくことを期待したいところです。

以上、お読みいただきありがとうございました。

 

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