日本における過去の高齢者雇用政策の流れ

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さて、前回は高齢者の雇用を考えることが、高齢化の進む日本においてどのような意味があるかを考えました。本記事では、実際にこれまで日本でどのような政策が行われてきたかを振り返ります。

 

1960年代、高齢者雇用政策の準備期間

高度経済成長期も終盤へと差し掛かり、老後の生き方について深く考えられるようになったのがこの時期です。その一つが1961年にスタートした公的年金制度です。さらに同時に皆保険が実現されたことで、高齢期の生活保障の基盤ができたと言えます。

とはいえ、高齢者の働き方となると、まだまだ誰もがその重要性を意識はできていませんでした。公的年金についても現在では必須の制度とみなされていますが、当時は受給者も少なく、ほとんど高齢者が自らの貯蓄を切り崩しながら現代と比べると決して長くはない余生を、子どもと共にすごしていたのです。

高齢者の働き方が見直されるようになった背景

しかし、1960年代も後半になると、わずかながら高齢期の働き方についての議論が活発化してきました。背景には寿命の伸長がありました。1960年代の日本の平均寿命が男性で65歳、女性で70歳でしたが、2014年の平均寿命は男性80歳、女性86歳となっています。約50年の間に寿命は男女共に15年以上延びているのです。このような中、当時は50~55歳くらいが企業の一般的な定年の年齢でしたから、徐々に老後の時間が長くなっていたわけです。

1960年代当時、引退した高齢者は子供と同居して扶養されるのが一般的な形でした。いわゆる独居高齢者の比率でみると、1980年になっても男性だとわずか5%、女性で約10%だった数字が、2015年には男性が約12%、女性が約20%となっています。こうした引退後の住まい、過ごし方というのも当時と今では大きく違うということがわかります。ただ、それもこの60年代後半というのは、そうした引退後の生活にも変化が見られる時期でもありました。つまり、老後に子どもと同居する以外の過ごし方が模索されつつある時期だったのです。

高齢者のための雇用対策

実際に、この当時、1960年代初頭に高齢者の就業希望者は増加傾向にありました。この時期は老後の生き方が変わりつつある時期だったと言えるでしょう。政府としても徐々に高齢者雇用政策に取り組みだしてもいました。たとえば下記のような内容です。

  • 1960,職業安定所における年齢別求職状況調査
  • 1962,高年齢者のための無料職業紹介事業の認可
  • 1963,改正職業安定法
  • 1966,雇用対策法

まだまだ取り組み自体は大きなものではありませんが、こうした下調べや地道な取り組みをもとに、1970年代から高齢者雇用の取り組みは本格化していきます。

 

1970年代、さまざまな施策の始まり

1970年代に入ると高齢者雇用の取り組みはさまざまになります。その代表の1つが「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」です。高度経済成長で大きく飛躍を遂げた一方、高齢化率が7%を超えたことや、1973年は福祉元年と言われるように、徐々に国民の間でも老後の生き方というのが大きなテーマとなった時期です。

国としての代表的な取り組みとしては「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」があります。いまだ経済成長が続く中、若年層の雇用は活発化していましたが、高齢h差については厳しい現状がありました。1973年の全体の有効求人倍率が1.74倍であったのに対し、55歳以上の高齢者はわずか0.2倍だったのです。こういった状況をうけて中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法が制定されました。

定年延長のはじまり

こうした動きを受けて、定年延長の取り組みがはじまります。1973年には改正雇用対策法で定年延長促進のための施策の充実が明示されるなど、定年延長が高齢者雇用対策の最重要課題として位置づけられるようになります。実際に昭和60年60歳定年の政策目標も掲げられています。

1960年代が定年後の事後的措置だったのに対し、1970年代からは定年延長という予防的対応に切り替わったのです。その本気ぶりを示す例として、定年の引き上げを行った中小企業にたいしては、奨励金が支給されるなども行われています。また、高齢者に対する定年前の職業訓練制度もこのころに始められました。

 

1980年代の話、60歳定年

1986年には前述の中高法が改称された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(略称:高年齢者雇用安定法)」のもとで企業に対する60歳定年の努力義務化が立法化されるに至りました。厳密な数字的には至っていませんでしたが、昭和60年60歳定年という政策目標はおおよそ実現することができたと言えるでしょう。

しかし時を同じくして60歳定年では事足りない自体を迎えます。それは1985年に実施された年金制度の抜本的大改革です。老齢年金支給開始年齢を現行の60歳から65歳へ段階的な引き上げを行うことが決定されます。また、大改革というだけあって、他に基礎年金制度の創設、第3号被保険者制度の創設、障害基礎年金の保障改善、厚生年金の適用拡大など、今も続く年金制度の基盤が大きく整えられた時期でした。

 

1990年代の話、65歳定年に向けた取り組み

上述のようにようやく60歳定年を実現したわけですが、すぐに目標は65歳へと切り替えられました。少子高齢化について危機的な論調が非常に多くなりつつありました。高齢者雇用対策としてもこの年金制度改正を受ける形で1990年から「65歳までの継続雇用確保」の取り組みをスタートさせ、その前提として1994年には60歳定年の義務化がはかられました。

 

2000年代の話、高齢者雇用のさらなる広がり

60歳定年がほぼ定着した2000年代。2009年に行われた厚生労働省の勤労条件総合調査によると、定年制が存在する企業は全体の約92%となっています。従業員規模が大きいほど割合は増加し、100人以下の会社だと約89%ですが、1000人以上の会社だと約99%となっています。

2004年には65歳までの雇用確保を確実なものとするべく措置の法的義務化(段階的対応)がはかられます。この結果、企業は定年の廃止、定年の引き上げ、継続雇用制殿導入のいずれかの措置を講じなければならなくなりました。

定年延長は幸せか

2012年8月には60歳の定年後も希望者全員を雇用することが、高年齢者雇用安定法改正案で義務付けられました。さらにこの時点ですでに2025年度には65歳までの雇用を義務付けることも既に検討されていました。さらに近年では厚生労働省主導のもと、70歳まで働ける企業推進プロジェクトが継続され、70歳までの雇用確保の延長に向けた取り組みも進められています。このように1960年代から、高齢者の雇用政策は定年延長の歴史でもありました。

 

国民としては少なくとも65歳までの雇用確保の道筋がついたことで、老後の生活という点では安心感もありますが、そんな年齢まで働き続けなければいけないのが幸せかというのは、意見が分かれるところだと思います。また、雇用が確保されたとはいっても、当然どのような仕事をするのかという点も考えなければならないポイントです。

今後は高齢期にどのような働き方がよいのか考えていこうと思います。

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