介護財政を圧迫する介護保険給付費について

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2015年6月5日、厚生労働省による報告で、2013年度の要介護(要支援)認定者数が発表されました。結果は、前年度より23万人多い584万人で、利用者負担をのぞいた介護保険給付費は前年度より3,580億円多い8兆5,121億円にものぼっています。

介護保険給付費とは1年間で介護保険がいくら使われたかを示す数字です。居宅介護・施設介護サービスの合計で、そのうち半分は介護保険被保険者の保険料、残り半分については国庫からの公費で支払われています。現在の日本においては、1年間で約8兆円もの介護保険が使われているということです。

 

介護保険給付費の推移

この介護保険給付費は介護保険が始まった2,000年から計られていますが、年々その数値は増えています。背景にあるのは少子高齢化です。高齢化率(全人口に占める65歳以上の方の割合)を見れば、2,000年には約17%でしたが、2014年には25%を超え、2030年には30%を超えると推定されています。つまり、全人口のうちの3人に1人が65歳以上のお年寄りということです。

介護保険を用いる65歳以上の高齢者が増えれば、介護保険に使われる費用が増えるのも当然のことです。2,000年に約3.6兆円だった介護保険給付費は、冒頭で述べたように15年後の2015年には9兆円に届こうとしています。

 

今後、明確になる2つの問題点

こうして介護保険費用が増えることで、どのようなことが起こるのでしょうか、既に顕在化しているとも言えますが、懸念すべき問題としては2つあります。

1. 利用者負担の増加

上述してきたように介護保険が増えているということは、そのお金をどこからか調達しなければいけません。これも上で書きましたが、その半分は公費でまかなわれていますが、半分は私たちが払っている保険料です。ということは、介護保険が使われるようになるほど、その負担は私たちに直撃することになるわけです。

事実、65歳以上が支払う被保険者としての保険料は、介護保険開始当初は約3,000円程度でしたが、現在では全国平均で約5,000円ほどとなっています。高齢化の進んでいる地域、過疎地域などにおいては1万円前後になっているところも少なくありません。65歳以上の人は保険料が年金から天引きされていますが、年金自体が困窮している現状において、たとえ数千円でも収入が毎月減少するのは生活の痛手となることは間違いないでしょう。

既に発表された情報ですが、2015年8月からはある程度の収入がある65歳以上の方は、介護保険の自己負担比率がこれまでの1割から2割になることが決まっています。たかだか、1割の上昇に見えますが、利用する方にとっては料金が倍になるわけです。その負担は決して軽いものではないでしょう。

また、第2号被保険者(40~64歳の人々)も同様です。彼らの多くは給料からの天引きで、介護保険料を支払っています。これは他の社会保険とも同様ですが、なんとなく料率が上がったような気はしながらも、多くの人は気づかないうちに負担が増えているのです。国から見ればある意味安定的な収入源である第2号被保険者(とりわけ会社勤めサラリーマンの方)の方は、今後さらに負担が増えていくと見て間違いないでしょう。

 

2.年金財政そのものの枯渇

上記のように介護財政の収入を増やしたとしても、それを上回る速度で少子高齢化が進行すれば、将来的には介護財政そのものが崩壊する可能性も否めません。実際に、同様に賦課方式を採用している年金では介護保険以上に深刻な財政の枯渇が叫ばれています。現在の40代以下くらいでは、既に自分が支払った額よりも少ない年金しかもらえない「払い損」になる可能性は非常に高い状況です。現在厚生年金の支払いに使われている積立金も、論者によって異なりますが2030年代~50年代頃には枯渇する可能性があるとも言われています。

■賦課方式について

ちなみにですが、上記で出た「賦課方式」というのは年金を運用する方法のことです。簡単に言えば、現在の高齢者の年金を払うために、現役世代の保険料が使われているという構図です。このことを指して、現在では3人の現役世代で1人の高齢者を支えているという言い方がよくされています。

一方、シンガポールやマレーシアなどでは「積立方式」という年金制度の運用が行われています。これは簡単に言えば、自分の将来の年金は、自分が支払った保険料を用いるという、要は貯金のような制度です。日本は年金においても、介護保険制度においても、前者の賦課方式を用いています。

そのため、少子高齢化が進めば進むほど、上述の高齢者を支える人数が減ってくるということになります。年金の場合は1950年には約12人で1人の高齢者を支えていた(つまり、現役世代の負担がそれだけ分散されていた)わけですが、1980年には8人に1人、2000年には4人に1人、2020年にはに2人に1人、2050年には現役世代1人で1人の高齢者を支えなければならないだろうと言われているのです。介護保険にも同様の未来が待っていることは想像に難くないでしょう。

 

 

このように、少子高齢化は当時年金を設計していた人たちが想像していなかったほどのスピードで進行し、年金や介護保険の財政を圧迫しています。制度そのものが改善されることを求めることも大切ですが、私たち1人1人が将来のためにできることをしていくことが必要です。もはや、老後の生活を考えるに早すぎるといったことはないと言えるでしょう。

当サイトでは老後の生活を考えるヒントになるであろう記事も書いています。ぜひ、下記の記事も参考に、将来への備えをしてみてはいかがでしょうか。

・老後の介護資金を貯めるためにすべきこと

老後に必要な生活費はどれくらいか?

老後の住まいは自宅か施設のどちらが良いか

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。当サイトでは他にも高齢化社会に関する様々な話題を提供しています。ご興味のある内容がありましたら、下記の関連記事も合わせてご覧になってみてください。

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