介護保険制度の評価・今後の方向性について

お役に立てたら、シェアしていただけると嬉しいです!

太陽へ向かう一本道

介護保険制度がはじまって10年以上たち、介護保険制度発足時に約4兆円だった財政規模(総費用)が10年後に倍の8兆円を超えました。これは、もはや高齢化が早急の課題であることが確かになっていること、そして制度が国民のなかに定着しつつあることを示しているのだと考えられます。こうした介護保険の歴史についてチェックしておきたい方は、下記の記事が非常にわかりやすく説明されています。

介護保険制度の歴史

介護保険制度の概要

また、この数年で介護保険事業に従事している人の数もほぼ増加しており、いずれも介護保険ができたことで後押しされたという現実もあるでしょう。これらを考えれば、介護保険制度がの設立は非常に意義があったと言えます。

制度への不満・マイナス評価の理由

一方で、少なくない面で人々から不満の声が挙がっているのも事実です。

労働現場からの不満

まず、介護事業の現場で働く職員からの評判が決してよくありません。代表的なのが低賃金と劣悪な労働条件です。業界の平均的な給与を見ると、明らかに他業界よりは劣っています。また、体力的な面でもかなりの重労働を要求されることが少なくなく、これも人手離れを促進する要因になっています。介護報酬についての議論が必要であることは明白です。この辺りは、下記の体験談でもよくわかります。介護職は決して楽な仕事ではありません。

介護職は「人生をよりよく生きる」ための学校

介護職は大変で苦労も多いけど、肉体・精神的に強くなれる仕事

利用者側の不満

さらに利用者側からも少なくない不満があがっています。例えば、以下の理由が主だったところです。

  • 必要な時に、必要なサービスがない
  • 制度の仕組みが複雑でわかりにくい
  • 要介護認定の仕組みがわかりにくい、納得がいかない

 介護保険はわかりづらい

要は「使えない」「わかりにくい」というのがその主要因であるように受け取れます。加えて、サービス内容を一般の方々に認知されていないという問題点もあります。企業や行政によるいくつかのアンケートを見ますと、国民のほとんどは介護保険について正確に理解をしていないということがよくわかります。

例えば、介護保険給付が「現金」だと誤解してたり、食費や住居費も給付対象であると思っていたり、支給限度額を現実よりかなり多めに考えていたりなど、いずれも現実を知ったらショックを受けるような勘違いばかりです。このように介護保険の仕組みはとても複雑です。介護報酬の支払いについてもはじめて見る人が簡単に理解できる内容ではありません。もう少し、具体的に何がわかりづらいのかを見ていきましょう

わかりづらさの具体例

では、介護保険のどのような点が具体的にわかりづらいのでしょうか。例えば、下記のような内容が挙げられます。

  • 誰が介護保険の受給対象なのか?
  • 介護保険料は誰がどのように支払うのか?
  • どこでどのようにすれば介護保険を受けられるのか?
  • 要介護度の基準って何を元に決められているの?
  • 寝たきりの方と認知症の方の対応はどう違うのか?

いずれも、誰がとかどこでとか、何をなどという、制度としては基本のところです。

しかしながら、上記の質問に正確に答えられる人がどれだけいるでしょうか。そもそも見当もつかない人も多くいるでしょうし、わかっていたつもりだったけどいざ説明しようとすると、うまくできないことに気づく人もいるでしょう。とにかく、このような基本的な内容においてすら、充分に周知をされていないのが現状の介護保険です。現状の複雑な制度のままでは、介護に関する課題は決して解決していきません。極端に言えば、誰にでも理解できて、誰にでも使いやすい制度にすることが必要であると考えられます

わかりづらさの背景

このようになってしまった一つの理由は、「制度の改定で細かい規定が積み重なっていってしまった」ためです。2000年に開始されてから約13年間ほどの間に、2回の法改正と4回の報酬改定がありました。これは保険に関する制度ではなかなか避けられないことではありますが、良くするための変更をしていった結果として、わかりづらさも増してしまったということです。

それに加えて、そもそも制度のことを知らなかったという方も少なくはありません。これらのことは大きな課題であると考えられます。介護保険制度は本来であれば、全ての人が享受すべき社会保険制度なのでありますから、その意義が浸透していない現状は改善の必要があります。ただ、これは認知度だけの問題でもなく、適切なサービス提供事業者が見つからない、手続き方法がわからない、利用料が払えないなどといった、制度の内容としての不足面もありますので、制度としての社会的意義を伝えるとともにやはり内容の改善も急務だと言えるでしょう

こうしたこと以外にも介護保険全般では下記のような問題が指摘されています。

介護保険における「支給限度額」の問題点

介護保険における「加算」とは?その問題点について

要介護度の判定基準は、正しい結果として信頼できるのか?

 

今後の改善に向けて

上記の問題点を踏まえた上で、どのように改善をしていくことがよいでしょうか。

充実したサービスを提供することが最優先

ひとつ大きな方向性としてあるのは、「サービス内容の拡充」です。先の不満の中に「必要な時に、必要なサービスがない」とありましたように、現状の介護保険がカバーしていない領域において、高齢者福祉サービスに対するニーズがかなり高いことがわかっています。例えば、自宅から施設への送迎サービス、バリアフリーへの改修、配食サービス、緊急通報システムなどがあります。

安かろう悪かろうからの脱却

また、長年の課題になっていることとして、「施設系サービスの充実」も喫緊の課題です。特別養護老人ホームへの入居の困難さは既に多くの人に知られているところでしょうし、既にある施設についても料金が高く「年金で入所できる特別養護老人ホーム」と言うのは常に求められているところです。

ただ、もちろんですが、「安さとクオリティの両立」も必要です。近年、老人ホームで相次いでいる虐待問題などは決して許されてはならないことです。また、施設の充実と同時に在宅ケアを選んだ人たちへの支援というのも必要になってくるでしょう。世話をする家族の重労働を考えると、施設へのフォローアップと同等以上のケアは必要になってくるでしょう。

いずれも、現状の介護保険では充分なフォローアップができていない分野になりますが、今後介護保険制度がより高い評価を得るためには、これらの分野に進出していく必要があるのではないかと考えています。

改革の必要性

このように、介護保険にはまだまだ足りていない部分が数多くあります。今回はご紹介をできませんでしたが、中流以上の国民、軽介護の認定者、主介護者が介護力のある同居者などにとっては、ある程度使いやすい制度として評価をされているのですが、これまでご紹介したように、数多くの不満があるのも事実です。

その多くは、実は低所得者の方や、重介護度の方、主介護者が介護力のない場合(老々介護など)、独居者などから不満が挙がっているところです。今後、ますます高齢化が進み、そして格差が進むことが予想される中で、いかに弱い立場の人を守っていくは非常に重要な課題になるでしょう。

お読みいただき、ありがとうございました。当サイトでは、他にも介護保険について、様々な記事を書いています。勉強したいと思っている方には、きっとお役にたつと思います。下記のリンクより、ご興味のあるものをぜひご覧になってみてください。

お役に立てたら、シェアしていただけると嬉しいです!

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

サブコンテンツ