要介護度の判定基準は、正しい結果として信頼できるのか?

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Senior Dance 3
Senior Dance 3 / JSmith Photo

 

要介護認定とは何か?

「介護保険で提供される介護サービス」を受けるためには、所定の手続きによって認定申請を行い、要支援または要介護の認定を受ける必要があります。平成18年4月の法改正により、それまで要支援と要介護1~5の合計6段階に分けられていたものが、次のように7段階に分けられるようになりました。

各介護度によって、介護サービスの利用出来る内容や回数、利用時の自己負担額が変わってきます。また、介護度によって入れる老人ホームも変わりますので、非常に重要な指標です。7つの種類があり、下記のような区分になっています。

  • 要支援1
  • 要支援2
  • 要介護1
  • 要介護2
  • 要介護3
  • 要介護4
  • 要介護5

これらは高齢者の方の病状などによって区分が変わってきます。介護保険の申請をすると、自治体の認定員によって、いずれかに判定をされます。手続きの流れの詳細は下記の記事に詳しいので、そちらをご覧ください。

要介護認定の流れ

 

制度の問題点

この要介護度が1つ変わるだけで、利用できる上限額も変わってきますので、利用者にとっては重要な指標です。それだけに、下記のように不正に高額給付を得ようとしたり、他にも制度的な問題点も指摘をされています。例えば、下記のような問題が指摘されています。

  • ヘルパーに依存的になることで給付が増えすぎる
  •  プライバシーや自立心から逆に利用を抑制する
  • 不正に高額の給付を得ようとする

上記は制度を悪用しようという問題ですが、申請をする立場から感じる問題・不便な点もあります。こちらは下記をご覧ください。要介護度に関しては下記のような記事も書いています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。

それでは、制度の問題点について、下記より詳しく説明をしていきます。

 

なぜ、この要介護度になるのかという疑問

さらに利用者側の視点として考えると、最初にあがる不満が、「なぜこの要介護度なのか」という点です。たとえば、Aさんは要介護2で、それより動けないBさんがなぜ要介護1なのといった場合、現状の制度ではそれを納得できる形ではうまく説明をできていません。このように、利用者にとっては、要介護認定の根拠がはっきりしないことが不満の最大の原因です。

使用者側からすれば、介護保険料を払っているのに、必要な介護を受けられないとなれば納得出来ないのも当然です。医者にとっても、判断が難しいところで、意見書の書き方が悪いためだと、利用者やその家族から文句がつくことも少なくありません。この点も、利用者からすればお金がかかる以上は重要な問題で、文句を言いたくなるのもしかたのないことかもしれません。これらの点は、介護保険制度の根本に関わることでもあり、保険制度の普及や満足いく利用、高齢者の幸せという観点のいずれにおいても、障害になってしまっています。早急に改善が必要だと言えるでしょう。

認知症の方に同対応すべきかという問題

とりわけ、判定において大きな問題としてあるのが、「認知症患者」の方への要介護認定です。認知症については下記の記事に詳しいので、ぜひ合わせてご覧になってみてください。

認知症の確認

■認知症介護と身体介護の違いとその対応

介護と一言でいいますが、大きな違いとして「寝たきりと認知症のどちらであるか」ということがあります。寝たきりというのは簡単にいえば、身体的な障害があり、手助けなしには移動や排泄、つまり日常生活をおくることができない人たちです。もう一つは認知症です。こちらは肉体的には問題がないことも多くありますが、病ゆえに正しい判断や行動ができなくなってしまっていますので、他者の手助けが必要になります。

「寝たきり老人」は、1970年代頃からクローズアップされるようになりました。その頃は、まだまだ寝たきり老人のほうが大勢を占めており、認知症の問題については軽視されていたと言えるでしょう。それが、90年代に入ると、一気に認知症が社会的な問題としてクローズアップされるようになりました。そして、徐々に寝たきりの方とはまた違った、介護の難しさが認識されるようにもなっていきました。

要介護度認定において問題になるのは、上記のように似て非なる2種類の患者さんに対して、要介護度という同じ尺度で測ってしまっていることです。この点については既に多くの批判もあり、実際のところを見れば同じ尺度で測定するのはそぐわない現象なのだと考えています。

■認知症についての議論の紛糾

ちろん、この点については制度施行前から議論はされていました。はたして、認知症の介護に対する介護度の設定が妥当なのかということです。1990年代当時、徐々に認知症介護の優れたケーススタディも見られるようになっていましたが、まだまだ体系的に情報が整理されているとは言いがたい状況であったために、最終的には、まずはテストとして実施をして、それをもとに改善するということで施行が了承されることになったのです。その後、2006年にはそれまでの成果をもとに制度の改善も行われていますが、未だ多くの人からその問題点を指摘されているのが現状です。

■介護方法がどのように違うのか?

そうなってしまうのも仕方のないことです。

上述しましたように、そもそも寝たきり老人と認知症患者への対応というのは根本的に違ってきます。認知症介護はまず、認知症のなかには原因疾患によって完治するものも含まれているため、何より「正確な診断」が必要になります。しかしながら、地域の医者では認知症について深い知識を持っていないことも少なくなく、主治医だけでは正確な診断が困難な場合もあるため、近くに認知症の専門医が必要になります。

一般に知られているように、認知症には「中核症状、周辺症状」といわれる症状とがあります。中核症状とは、脳の器質的変性に伴う症状で、器質的変性の進行を留めたり治療したりすることは現在の医学では不可能とされています。そのため、中核症状の進行を薬物治療によって遅らせることはできても、進行を止めることや治癒させることは結局できません。周辺症状とは、脳の問題ではなく、周辺環境や介護方法、本人の性格・体調などによって影響される、言動や行動のことです

例えば、柔和だった人が怒りっぽくなっているとか、暴れたり、忠告を無視するとか言ったことは、実はこちらは環境整備、体調の保全によってかなり軽減できることが知られています。それまで多数の問題行動を起こしていた人が、自身が好きであった自然が豊富なグループホームへ言った途端に落ち着いたという例もよく見られます。

もちろん、身体介護においても専門知識は必須ではありますが、より複雑で、常に研究成果が移り変わっているという点から、認知症介護には身体介護にはない難しさがあると言っていいでしょう。

以上のように、認知症の介護は、身体介護とは質的に大きな違いがあります。身体介護は、基本的には設定された時間内に完結する行為(おむつの交換や食事介助など)ですが、認知症の介護は、必ずしも一定の時間で介護活動を実施できるわけではないため、現在の要介護度認定で行われているように介護を時間的に計測することが難しいのです。

この点は、まだまだ未解決の問題であり、今後もさらなぐ議論が必要になるでしょう。

 

要介護度を複雑にしてしまった日本式の仕組み

上記のような問題を引き起こしてしまう理由のひとつが、日本式の要介護度の判定の特徴である「7段階式の判定、コンピューターを用いた細かい分析」です。現在の日本における介護度設定の流れは、施設における介護時間を綿密に測定し、それに基づいてランクを決定するという形をとっています。コンピュータによって正確で細かい認定をすることができるので、より公平に正確に、しかも負担額が過度にならないように介護度を認定できるのがウリであるというわけです

確かに、これは文字面としてはそのとおりだと思うのですが、現状必ずしもうまく言っているとはいえません。コンピュータはあくまで数字であり、介護の現状を正確に反映するには主治医の声や主介護者の声というのがどうしても必要になるはずです。そこがまず軽視をされていると言えるでしょう。また、在宅介護と施設介護は様々に異なるにもかかわらず、同様に時間が基準として用いられていることも問題です。さらに、7段階であるというのは、単純にわかりづらいことが問題です。これらのために、現行の要介護度認定は多くの批判にさらされているのです

ちなみに、「介護先進国であるドイツ」では、介護度はもともとは3段階であり、日本よりはうまく運用をされていました。2008年7月からは、1つ介護度が追加されて4段階になっていますが、これは国民には前向きに受け止められており、特にこれまで要介護度1が認められなかった患者にとって非常に喜ばれているそうです。もちろん、そのほか様々な点で日本とドイツは違うわけですが、とにかくこの「段階数が少ない」というのは大きな要因として作用しているといっていいでしょう。

 

改善の方向性

では、日本の要介護度認定はどのようにすべきかという点についてですが、ひとつ大きく言えるのは「段階数を減らすべき」であるということです。やはり7段階というのが多すぎるがゆえに、いくつかの問題が生じている現実は否めません。もちろん3つ、4つにしたからといって全てが解決するわけではありませんが、少なくとも現状の問題点である「わかりづらさ」の改善においては大いに役立ちます。要介護度認定は、介護保険制度の大元である最重要課題です。今後の早急な改善が望まれます。

 

お読みいただき、ありがとうございました。当サイトでは、他にも要介護の基本的な情報から、実際の利用方法など、幅広い情報を取り扱っています。また、介護保険のそのものについての記事もあります。ぜひ、下記の関連記事よりご興味のあるものをご覧になってみてください。

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