介護の現場における労働力不足とその原因

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Last station nursing homeLast station nursing home / ulrichkarljoho

 

介護の現場で働く人たちが足りない

数年前から議論されていることですが、介護の現場においては「労働力の不足」が叫ばれています。2014年時点で介護職に従事する方はおおよそ150万人程度と言われていますが、団塊の世代の多くが後期高齢者(75歳以上)を迎える2025年には約250万人ほどの介護職員が必要だと見込まれています。つまり、約10年で100万人の人間が必要だということです。明らかに、介護の現場で働く人が足りていないのです。

この背景には、少子高齢化があります。少子高齢化が進むことで、高齢者と現役世代の比率は、徐々に縮まってきています。若者は減り、高齢者が増えることで、高齢者の方の手助けをする人たちが減ってきているのです。2050年頃には日本全体で5人に2人、つまり約40%もの人が高齢者になると予測をされています。このような状況になれば、今よりさらに介護事業に従事する人が求められることは間違いがありません。

また、少子高齢化が進むことで制度の崩壊や現役世代の負担増加が懸念されています。こういった点については下記の記事が詳しいのであわせてご覧になってみてください。

誰が老人を支えるのか?少子高齢化による若者の負担増加

増加する介護保険の料率、将来的にどこまで負担が増えるのか?

・ 介護保険制度の評価・今後の方向性について

 

介護職に人が集まらない理由

では、なぜ介護現場における労働者がが少なくなり、そしてなかなか増えないのか、その原因を考えてみようと思います。背景にあるのは、先程指摘をしたような、「需要と供給の問題」です。つまり、多くの高齢者が介護サービスを望む一方で、それに合わせて供給されるべき現役の労働者が少ないということです。

1. 介護保険の自己負担比率は低いので、多くの人が積極的に利用する(需要の大幅な増加)

この供給されるべき現役労働者が少ないことが問題なわけですが、その理由は、介護サービスにおける料金設定にあるというように考えられています。介護保険の自己負担率は約1割と、健康保険と比べてもかなり低く設定をされています。そのことが極端に需要を喚起することになり、少ない供給を圧迫している面もあります。

2. 給料が安いので、介護職として働きたくない(供給の停滞)

また、供給側としては、単純に「給金が安い」という問題があります。単純な理由ですが、給料が安いから介護職は嫌だというのは、よく聞かれる話です。2013年の最新のデータでは月額が約27万5000円という数値で、単純に考えれば年間で350万円に満たない程度ということになります。一般的なサラリーマンの年収が現在約400万円程度なわけですから、介護職は平均的に賃金が安いということがわかると思います。

この点については、下記の記事が詳しいのであわせてご覧ください。

2015年度の介護職賃上げで人手不足は解消されるのか?

以上2点から、介護職員の不足が起きていると考えられます。給料が他業種と比較をして安いことについては、さらに下記のような背景があると考えられます。

介護報酬の固定が、現場で働く人の給料に影響している

この背景にあるのは、介護サービスを提供する側の収入になる「介護報酬の料金価格が固定されている」ことが影響しています。こうなると、事業者側としても、介護ヘルパーさんの賃金を上げることはなかなかできません。また、当の本人たちも、いくら頑張ってもなかなかお給料があがらないという現実に悩まされることになります。当然、働いている人にとってお給料はとても大事な問題です。それゆえ、多くの介護関連の職員さんが離職をしてしまうということになったのです。

ただ、全く給料が上がっていないわけではありません。社会的にも問題視されており、上記の2013年の給料月額は、介護報酬がアップしたことで、前年より約5000円ほどアップした数値なのです。逆に2006年には介護報酬が引き下げられたということがあり、この時には介護労働者不足問題は深刻度を増す結果になってしまっていました。それらを踏まえて、少額ではありますが、近年は介護報酬が引き上げられることが多くはなっています。

しかしながら、たしかにこれは労働者側から見ればいいことですが、逆に利用者側から見ればサービスの単価が上がってしまうことにつながります。年金だけで暮らすお年寄りからすれば、自己負担での支払いというのは簡単ではなく、労働者が楽になれば利用者が辛くなるというどちらにも家事を取りづらいのが現状です。

 

介護職員を増やすための新しい取り組み

上記のような、労働者の不足について、もちろん、業界としても無策ではなく、労働者不足については、外国からの労働者を招くといったことを積極的に推進はしています。事実、導入も進んではいるようですが、「言葉の壁」などもあり、資格試験の合格率は高くなく、簡単に解決という事にはならなさそうです。

また、利用者側としても外国人労働者への抵抗がある人も少なくなく、そもそも外国人に頼れるのかどうかという議論もありそうです。この外国人労働者というのは医療業界でも同様ですが、これはこれで決して簡単な改善策とは言えなさそうです。

労働力不足によって生じる問題の悪循環

このような労働力不足が一因として生じているのが、「待機老人」についての問題です。2009年の厚生労働省の調査によれば、日本全国で特養への入所を待っているお年寄りは約40万人にものぼるそうです。特養以外では、有料老人ホームがあるわけですが、やはり公的な施設である特養等にはまだ価格的なメリットがあり、なかなかすんなりと待機者が減るということにはなっていないようです。

特養の入居待ちについては下記の記事をどうぞ。

「特養」に入居することは可能なのだろうか

また、特養という施設自体については下記記事で詳しくご紹介しています。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

それなら、もっと特養を増やせば良いということに鳴るのかもしれませんが、政府による「総量規制」という施策のために、新規で特養を建てることは簡単なことではなくなっています。これは、老人ホームやグループホームについても同様です。また、仮に立てたとしても、上述したように、職員が簡単に集まるかというと、これもそう簡単な話では無さそうです。このように、1つの問題から、新しい問題がどんどんと生じてきています。特に、入居できる施設の見つからない高齢者がやむを得ず、「無届老人施設」に入所するということも少なくなく、事件に発生するということも近年は珍しいことではありません。

 

 

 

今後さらに少子高齢化が進むことで、これらの問題はより顕在化してくるように思います。一刻も早い対応が必要なのは確かなことで、このブログの中でも少しでも考えられたらいいなと思っています。お読み頂きありがとうございました。

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