2015年度の介護職賃上げで人手不足は解消されるのか?

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女性介護士の画像

2015年度の介護保険改訂内容

11月27日の日本経済新聞に、『介護費「賃上げ」除き抑制 厚労省3年ぶり改定、増税延期響く 』という記事が掲載されました。要旨としては、3年に一度行われる介護報酬改定の2015年度の改定内容の紹介です。2015年の改定内容は大きなポイントとして、下記の3つになります

  1. 介護職員の給料を増額
  2. 職員の給料以外の費用を抑制する
  3. 介護保険利用者の自己負担引き上げ

どれも、介護業界で働く人にとっても、介護をお願いする人たちにとっても重要な問題です。今回の記事では一番目の介護職員の給料増額について考えてみたいと思います。人手不足が問題視されている介護業界ではありますが、給料が増えることで本当に人手不足が解消されるのでしょうか

こうした介護職における人手不足については、下記の記事でも詳しいので、あわせてご覧ください。

介護の現場における労働力不足とその原因

 

介護職員の低賃金問題

介護業界は人手不足が叫ばれています。2014年現在で「約150万人」程度の介護士は、団塊の世代が大量に退職することが見込まれる2025年には「250万人」程度必要になると考えられています。10年で約100万人増という数字が掲げられているのに対し、現状を見ると日本人の就職希望者がなかなか集まらず、フィリピンなどの海外からのスタッフに頼ることも既に検討されている状態です。こうして、日本人が集まらないことの理由としてよく挙がるのが、介護職が低賃金であるという問題点です。

介護職の給料が安いことは世間的にも知られていることだと思います。記事によれば全産業平均が月額平均32万円なのに対して、介護職員の月額平均賃金は約24万円とあります。実際、平成25年度の福祉施設介護員の平均年収は307万円と、上記の数字と大差のない状況になっています。独身であれば、これくらいの給料でも生活はできるでしょうが、結婚を考えると少々心もとないように思います。

こうした介護職の実状については、下記の体験談も参考になるはずです。ぜひ、合わせてご覧になってみてください。

介護職は「人生をよりよく生きる」ための学校

お金儲けではなく、利用者のための介護を目指して

介護の仕事を通して人間的に成長することができた

そういった状況から、給料を増やすことで少しでも日本人の職員を定着させたいという思いがあるのでしょう。今回の介護保険改訂においては、月平均で「1万円程度」を増額する予定であるとのことです。実際には増税が延期された影響でまだ未定ではあるとのことですが、予定通りであれば年間で12万円ということですから、額だけを見れば決して少なくないとは思えます。

 

給料を増やせば人が集まるのか?

しかしながら、給料を増やすことで介護職が増えるかというと、疑問が残ります。というのも、記事に2009年と2012年の改定時にも賃上げが行われており、2009年以前と比べれば既に月額3万円に相当するだけの給料の増額が行われているというのです

それにも関わらず、厚生労働省が発表している「介護サービス施設・事業所調査」を見ると、平成21年度から23年度の間で約134万人から約140万人と、わずか5%ほどの伸びしか見られません。このペースでは2025年に不足する100万人を補うには十分だとは言えません。

介護という特殊な職場への対応策が必要

そのことを踏まえると、介護職が増えない理由というのは少なくともお金だけではないと考えられます。そのうちの1つだと考えられるのは、介護職員の「労働環境」です。厚生労働省の平成25年12月26日のプレスリリースによると、平成18年に273件だった高齢者の虐待相談件数は、平成24年度には「736件と2.5倍以上」になっています。日々のニュースでも、介護施設での高齢者虐待は決して珍しい話ではないように思います。

おそらく入社時は普通の方であった職員が、こうした虐待をするまでになってしまう状況、その労働環境の苛酷さこそが介護職の人手不足の要因なのではないでしょうか。自分と同じくらいの人間を持ち上げたり、運んだりする中での高い負荷ゆえに腰を悪くしたりといった「身体的な問題」、また介護という仕事における特殊性(排泄の処理や食事介助など)による「精神面でのストレス」の増加を問題としたものが多いそうです。こういった内容を見るだけでも、たとえ介護に携わっていなくとも、その仕事がどれだけ大変であるかは想像できるものでしょう。

実際に介護職の離職率は2013年度の調査で16.6%と、全産業の約14%と比較して高くなっています。実際に、近年ではどの施設でも採用枠を拡大しているものの、そもそも応募がないか、入ったとしても上記のようなさまざまな問題ゆえに長期雇用が実現できていない状況なのです。

ソフト面での労働環境の改善が最優先事項

以上を考えると、今回の2015年度の改訂において職員の賃金増額は大きな効果は期待できないのではないでしょうか。もちろん無意味ということはありませんが、それよりも介護の現場で働く人の労働環境、とりわけ「ソフト面の充実」が重要であると考えます。

下記記事にもあるように、今後、少子高齢化が進む中で、介護施設で働く人たちの重要性が増していくことは間違いありません。

老人ホーム等の介護業界の現状と課題

誰が老人を支えるのか?少子高齢化による若者の負担増加

本サイトでも、継続的に介護職の労働環境の状況や、どのような改善が望まれるかを考えていきたいと思います。

 

なお、下記の介護職の転職サイト「クリックジョブ介護」は、ミスマッチの起こりやすい介護転職の現状を鑑みて、納得のできる転職を徹底的にサポートしています。実際に満足のいく転職のできた方の体験談など、詳しい説明がありますので、ぜひ下記より詳細ページをご覧になってみてください。


 

お読みいただき、ありがとうございました。本サイトでは他にも介護保険についての話題など、老人ホームに関連する様々な記事があります。ぜひ、合わせて下記の関連記事もご覧になってみてください。

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