財務省が介護保険の利用者負担増を提言(2014/10/8)

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ニュースの概要

2014年の10月8日に「財政制度等審議会(※1)」が行われ、そこで財務省は「介護保険の利用者負担」について更なる引き上げを検討すべきだと提言しました。それに対し、利用者団体、介護事業者の間では、自己負担引き上げに慎重な意見が多いのが現状で、2018年度の介護保険制度改定時にはこのテーマが大きな焦点として議論されることが予想されます。

(参考記事URL:http://www.joint-kaigo.com/social/pg875.html)

(※1)財政制度等審議会は、2001年に発足した、国の財政全般を検討する財務省の「諮問機関(行政庁に対して、学者などが審議を行い、意見を答申する機関)」です。個別の課題については財政制度、国家公務員共済組合、財政投融資、たばこ事業等、国有財産の5つの分科会があります。

本記事では上記の内容をもとに気になったことを考えてみました。まずは、なぜ財務省は負担を引き上げたくて、介護関係者はそれに反対するのかということです。

こうした介護保険に関する法案や、制度改正については、下記の記事でも扱っていますので、ぜひあわせてご覧ください。

介護保険制度の歴史

医療・介護総合推進法の可決について思うこと

増加する介護保険の料率、将来的にどこまで負担が増えるのか? 

 

2つの疑問

今回の記事内容を考えると、2つの疑問が浮かんできます。

なぜ、財務省は自己負担を引き上げたいのか?

これは、将来的に介護保険の財源が不足することが予想されるため、自己負担額を引き上げることで、財源不足になることを避ける、または遅らせたいからであると考えられます。介護給付費は2000年に約4兆円でしたが、2012年には9兆円に迫る額となっています。今後、さらに高齢化が進むことで2025年には20兆円を超えると推定されており、現状のままではそれを賄うための財源が準備できないことが危惧されています。

なぜ、利用者団体(※2)や介護関係者は引き上げに反対なのか?

これは、2つの理由があると考えられます。まず、値上がりすることで利用を控える方が出てくる危険性です。1割から2割というと数字としてはわずかな上昇に見えますが、実際には同程度のサービスを受けた時の支払いが2倍になるわけですから、家計に与える打撃は少なくありません。本来、介護保険による支援が必要な人が使用を控えるということになってしまうと、健康な生活が損なわる可能性があるわけで、これは見過ごせないということだと思います。

もう1点の理由は、事業者の儲けが減ってしまう可能性があるという点です。先の利用者が使用を控えたらという仮定ですが、そうなれば事業者の介護報酬は減ります。事業者側としては、経営を考えると、それは危惧すべきことです。

以上2点より、利用者団体・介護関係者は「利用者の負担増」に反対していると思われます。

(※2)介護保険を利用する方々で組織された公益社団法人などを指します。有料老人ホームや、認知症患者・家族のための団体などがあります。

次に、財務省が引き上げの理由として挙げている3つの点について考えてみようと思います。

 

3つの論点

「現行の自己負担額1割は低すぎる」は本当か?

1割という数字は確かに低く思えます。医療保険が最大3割負担であることを考えると、介護保険の数字が低く見えるのも仕方のないことです。しかしながら、実際の自己負担「額」を見てみると、決して低くはないことがわかります。

2012年10月31日の日本経済新聞の記事によると、介護費用の自己負担額は「月3万~5万円が目安」とあります。これはサラリーマンの平均月収が月に三十数万円であることを考えると安くはない出費です。ましてや、年金のみで生活する高齢者には手痛い額だと言えるでしょう。これを考えると、現行の自己負担額1割は低すぎることはないと考えます。

※2015年どの介護保険法改正で、年収によって一部の人は2割負担となることが決まりました。詳細は下記記事をご覧ください。

介護保険制度の評価・今後の方向性について

 

「要介護度の低い利用者の場合は、自己負担額を大幅に上げるべき」なのか?

これは、「要介護度が低い人たち(要支援1~要介護2)で介護報酬全体の6割を占めている」からだと考えています。また、要介護度が軽度であれば、多少の負担増があっても、自身で働いて増やすことが可能であるという考えもあるのかもしれません。いずれにせよ、大多数を占める軽度の人たちが介護サービスを利用した際の介護報酬が減る(自己負担額が増える)ことで、全体として必要となる介護報酬が減るために、軽度の人への負担増が叫ばれているのだと考えられます。

要介護については、下記の記事にも詳しいのでぜひあわせてご覧ください。

要介護度認定の基礎知識

要介護認定の「訪問調査」って何をするの?

要介護認定を変更するために再申請できるのか?

「負担の公平性を確保する観点」の、負担の公平性とは何か?

冒頭で紹介した参考記事には、「負担の公平性を確保する観点から、自己負担の更なる見直しが必要」という記事がありました。「自己負担の更なる見直し=自己負担額の増加」ということだと思いますが、「負担の公平性」とは何かということを考えさせられました。記事から見ると、「医療保険と比較した時の不公平」、「保険料額が増えていることによる世代間の不公平」ではないかと考えられるのですが、このどちらも果たして不公平なのかどうかはすぐに答えを出すことができませんでした。どちらも、今後、別の記事でじっくり考えたいと思います。

 

 

以上、冒頭の記事をもとに色々と考えてみましたが、自分の知識の無さ、制度の複雑さ、今後の制度運用の危うさなど、だいぶ頭が痛くなりました。もっと、しっかり勉強をしていこうと思います。

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