相続手続きをスムーズにする遺言書の書き方と作成の必要性

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遺言書があるともめずにすみます

 

老人ホームを決める前にやりたいことのひとつが、「遺言書の有無」を確認することです。存命中に何を不謹慎なことをと思われる方もいるかもしれません。また、遺言書というとお金持ちがつくるものだと思う方もいるでしょう。

しかしながら、生前に遺言書を考えることは、実はどのような人であれ非常に重要なのです。本記事ではなぜ遺言書が必要か、どう役立つのかなどをご紹介します。

 

親が遺言書を残すメリット

メリットは3つあります。それぞれ説明をしていきます。

【1】死後に遺産分割協議を行う必要がない

最初のメリットは遺産分割協議を省略できるという点です。

■遺産分割協議とは

相続した相続財産を具体的に誰にどのように分けるか?を話しあうための場のことです。遺産は相続人が複数の場合(亡くなった方の兄弟、自分の兄弟など)、全員の共同相続財産となるために、分配の内容をみんなで話しう必要があるのです。ドラマなどで資産家が亡くなった時によく家族間で揉めているのを見かけたことがあると思いますが、ああいった風景を思い浮かべてもらってよいと思います。

■手間がかかる遺産分割協議

遺産分割協議をしないことがなぜ良いかというと、時間を大幅に短縮できるからです。多くの人は仮に家族で話し合うことになったとしても、うちは仲がいいからもめたりしないと思う方もいるでしょうが、お金がかかってくると、突如険悪になることも少なくないのです。そうして、親族間でもめると資料を準備する量が大幅に増えたり、打ち合わせを何度もしたりと、非常に時間と手間がかかります。

さらに、まずほとんど顔を合わせたことのないような親族と話し合わなければならないことや、多くの一般家庭の場合は遺産が土地や家、自動車、時計など分割が難しいものであることも、(これが全部現金だったり、銀行預金だったり、株式などで分割が容易であれば、ずいぶんと手間は変わります)遺産分割協議が長期化してしまう大きな要因です。

■遺言書が相続をスムーズにする

遺言書があれば、上記の流れはずいぶんと変わります。遺言は、その人が亡くなった時に財産に法的効力を発生させる方法ですから、相続においては、まず遺言書が優先されます。そのために、誰かが異議を申し立てたりすることが少なくなり、遺産分割協議をする必要がなくなることがほとんどです。そうすれば、上記のような煩雑な資料準備や、誰かと険悪になったりということもなく、スムーズに相続を進めることができるのです。

 

【2】遺族が親の口座から預金をおろすことができる

これはご存じない方も多いかと思いますが、遺言書がないと、金融機関によって口座停止になった時に、たとえ家族でも亡くなった親の口座からは一円もお金を下ろせなくなります。すると、場合によってはその間の生活費が不足したり、お葬式のお金などを準備することができなかったりと、残された家族が色々と困ることになってしまいます。

この時にお金をおろすためには、遺産分割協議を完了させる必要があります。それなら、まあいいかと思われるかもしれませんが、法定相続人の数が多ければ必要な書類を揃えるのに手間と時間がかかります。必要な書類は、亡くなった方の出生からすべての戸籍謄本と除籍謄本、法定相続人全員の捺印済みの遺産分割協議書、法定相続人全員の印鑑証明書です。

ちなみに、亡くなった時の銀行口座の停止に関しては、市役所に死亡届を出して各金融機関がすぐにそれを把握できるというわけではありません。金融機関は家族からの申し出を受けるか、死亡した事実を新聞の訃報欄などにより把握するのです。都心では珍しいことですが、田舎では誰かが亡くなった時に地方新聞に載ることはよくあることだそうですから、このような方法でも把握することができるというわけです。ですから特に東京などでは、死亡した事実が金融機関に知られることなく、凍結されない状態の口座も多くあるそうです。このように、遺言書がないばかりに色々と困る可能性があるのです。

 

【3】法定相続人ではない人に遺産を残せる

遺言書がなければ、遺産は「法定相続人」に分けられることになります。例えば、子どもの妻や孫、内縁の妻は法定相続人に属していませんが、お世話になった人であれば、恩を返したいと思うのも自然です。また、ドラマなどでよくある設定だと思いますが、認知していない実子を遺言を用いて認知すると「身分行為」も行うことができます。いずれにせよ、このように基本的には自分の思うように遺産を分けられるのが、遺言書を残すことによる大きなメリットです。

遺留分について

ただし、全く全てを自分の思い通りに配分できるわけではなく、配分割合について「遺留分」という決まりがあります。
これは法定相続人が相続のときに最低限相続できる割合のことで、民法で次のように決められています。

  • 子と配偶者が相続人→子が4分の1、配偶者が4分の1。
  • 父母と配偶者が相続人→配偶者が3分の1、父母が6分の1。
  • 兄弟姉妹と配偶者が相続人→配偶者が2分の1、兄弟姉妹は遺留分なし。
  • 配偶者のみが相続人→配偶者が2分の1。
  • 子のみが相続人→子が2分の1。
  • 兄弟姉妹のみが相続人→兄弟姉妹には遺留分なし。

このように法定相続人がどのような組合せであるかによって、主張できる遺留分の割合は変わってきます。ですから、相続人の遺留分を考慮せずに配分を決めてしまうと、後にトラブルとなる可能性もあるので注意が必要です。

 

認知症社会で重要性を増す遺言書

老夫婦と相談中

近年、認知症の患者さんが増加しています。2012年に約460万人ほどだった認知症の患者さんは、2025年には全国で700万人を超えると推定されています。わずか10年と少しで、おおよそ2倍もの数になるというのです。65歳以上の約5人に1人程度が対象となる割合で、全人口の割合を見ても、おおよそ20人に1人程度ということになります。

高齢者を狙った犯罪の増加

そうした状況において、既に懸念をされているのが高齢者の方を狙った犯罪の増加です。ここ数年でまた聞くようになっているオレオレ詐欺をはじめ、健康商品の送りつけ商法といったものや、融資保証金詐欺、還付金等詐欺、悪徳リフォーム、年金詐欺といったものがよく聞かれます。

なかでも、最近話題になったのが、「遺言書」を利用した詐欺です。そして、狙いは認知症の方です。なんとなくイメージがつけていただけるのではないかと思いますが、判断能力の充分でない老人の方に、適切ではない遺言書を書かせて、財産を自分のものにするという手口が最近増えているのです。

突然の遠縁の女性との養子縁組

2013年に実際にあった事例として、朝日新聞に掲載されていた記事です。とある資産家の女性と、遠縁にあたる中年の女性が養子縁組をしたそうです。驚くべきは、それからわずか2週間で資産家の女性の財産は全てその中年女性に譲るという遺言書がつくられたことです。その額はおよそ1億円にものぼるそうです。実はこの女性は数年前から認知症を患っていたそうで、養子縁組や遺言を書いた経緯については覚えてないというのです。真実についてはわかりませんが、上記の内容を見る限りはいろいろと疑問点は浮かんできます。

この朝日新聞の記事には、他にも遺産と遺言、そして認知症を巡るケースが他にも掲載されていました。このように、判断能力が充分でないことを狙って、家族、またはそれに近しい人による遺産の横領のような事件が少なからず出てきているのです。今後、少子高齢化がさらに進むことで、こうした事例はさらに増えてくるでしょう。その際に、どのように正しい遺言書を書くのか、その重要性が高まってくることは間違いありません。

高齢者を守るための成年後見制度

そこで重要となってくるのが成年後見制度です。成年後見制度とは、判断能力のない高齢者の方のために、後見人が彼らを見ることで、財産や権利を守るための制度です。一般的には家族や親戚が後見人を務めますが、最近では弁護士や司法書士といった方がによる後見も数が増えています。こうした方々が高齢者を見守ることで、不当な詐欺や犯罪を未然に防ぐことができるのです。

正しい遺言書を書くための3つのポイント

では、具体的に遺言書を書く時に気をつけるべきことは何でしょうか。大きく見ると、下記3つのポイントになります。

  • 全文を自筆で書くこと
  • 遺言書を書いた日付が明確であること
  • 署名が記され、押印もされていること

これが遺言としての効力を持つポイントです。ドラマや小説などのフィクションでも時に扱われるテーマだと思いますが、遺言が遺言として認められるのにはいくつかのポイントがあるのです。まずは上記3つのポイントが大事ですが、きちんと理解をするためにご自身でも調べてみることをオススメします。

そうした手続きが面倒だという方にオススメしたいのは、公証役場でプロにお願いをして、公正証書遺言をつくってもらうことです。多少のお金はかかりますが、それでも上記のようなことに悩まずに、正しい遺言をつくることができるのは魅力です。自身の財産を正しく相続するために、もしくは自身に正しく相続されるために、一度遺言書について調べてみはいかがでしょうか?

 

 

以上が、遺言書についての概要です。

とはいえ、遺言書を書くには本人の判断能力が適切である必要があります。この辺りについては下記の記事をご参照ください。

また、そもそも家族に残せるほどの遺産がないという場合もあるかもしれません。下記記事では老後の資産運用についてご紹介をしています。ぜひ、あわせてご覧になってみてください。

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