法定・任意後見の概要と、手続きの流れ

お役に立てたら、シェアしていただけると嬉しいです!

LG at Maryland Volunteer Lawyers Service Recognition CeremonyLG at Maryland Volunteer Lawyers Service Recognition Ceremony / MDGovpics

 

多くの人は、歳を重ねることで判断能力が衰えてしまいます。認知症や知的障害などだけではなく、加齢によって判断能力は否応なく下がってしまうものなのです。そういった方々の財産管理や買い物、生活費の使い方、光熱費等の支払い等に関して、他人に侵害されることなく権利を守るためにあるのが「成年後見制度」です。

判断能力が衰えると、本来必要のないものを買ってしまったり、契約を結んだり、場合によっては人に騙されてしまうことすら起こりえます。ですから、契約を結ぶ際に判断能力が低下したことにより、不利な契約を結ぶことがないよう、本人の意思のもとで安全な契約ができるように、「サポートする人をつけて支援する」ということ、これが成年後見制度の理念なのです。

成年後見制度そのものについては、下記の記事にも詳しいのであわせてご覧ください。

成年後見制度の利用

また、判断能力を失わせる一因である認知症については、下記の記事に詳しいのでご覧になってみてください。

認知症の確認

・認知症に効果があると言われる学習療法とは

・高齢者・徘徊対策のセンサーならセコムがおすすめ

 

成年後見制度のはじまり

成年後見制度は、介護保険制度と同時期の「2000年4月」に、これからの社会で必要になるだろうという思いからスタートしました。既に開始から10年を越えますが、同時期に始まった介護保険制度が一般的になった一方で、この成年後見制度というのはまだ十分に普及をしていない状況です。介護保険自体の概要については下記の記事に詳しいのでぜひご覧ください。

介護保険制度の概要

介護保険制度の歴史

現在の具体的な利用者数としては、「平成25年末時点で17万6564人」と言われています。制度開始後から徐々に利用者は増えていますが、要介護者が約500-600万人いると言われていることを考えると、まだまだ利用者数は少ないと言えるでしょう。今後、こうした潜在的な利用者にどれだけ制度の有用性を理解してもらえるかが普及のポイントになるでしょう。

 

制度のおかげで高齢者の生活が守られる

では、この成年後見制度があることでどのようなメリットがあるのでしょうか?一番のポイントは、冒頭でも書きましたように、判断能力の衰えた「高齢者の方が不当な契約などから守られる」ようになります。また、仮に何かしらの詐欺にあったとしても、成年後見制度を締結していれば、「後から契約を取り消すことも可能」なのです。

もし制度を利用しないままでいると、先に述べたように自分の意思なく権利を侵害されたり、犯罪に巻き込まれたりするという可能性も考えられます。たとえば、独居老人が悪質な訪問販売員に騙されて高額な商品を買わされてしまうというようなことも、最近よく耳にしますし、必要のないであろうリフォーム契約を結ばれるというような事例もあります。こういった場合も成年後見制度を上手に利用することによって被害を防ぐことができる可能性もあります。それゆえに、この成年後見制度の普及は一刻も早くされるべきだと思います。

 

具体的な内容

それでは、成年後見制度とはどのような仕組みになっているのかをご紹介します。実際に成年後見制度の契約を結ぼうと思ったら、方式は大きく2つにわかれます。「法定後見」と「任意後見」です。さらに法定後見はその中でも3つにわかれています。

この2つの違いとしては、成年後見制度を利用しようと思った時に対象となるご本人の判断能力の有無によって、どちらが適用されるかが変わります。契約時点で既に判断能力が乏しいのであれば「法定後見」、判断能力が明晰なのであれば「任意後見」が適用されるということになります。下記で、それぞれについて詳しくご説明します。

【1】法定後見契約

法定後見は判断能力が不十分な際に、家庭裁判所で後見人を選ぶことができる制度。現状の判断能力に合わせて、下記の3種類のいずれかが適用されます。

(1)後見

家庭裁判所によって成年後見人が選ばれます。成年後見人は、支援される人に代わってあらゆる契約を結ぶことができます。

(2)保佐

家庭裁判所によって成年後見人が選ばれます。支援される人が、自分にとって一方的に不利益な内容の契約を結んでしまった場合に、保佐人はその契約を解除して、なかったことにすることができます。

(3)補助

家庭裁判所によって成年後見人が選ばれます。補助人は、裁判所が認めた事項について契約を取り消すことのできる権限と、支援される人に代わって契約を行う権限が与えられます。

法定後見人に任命された場合には、「代理権」「同意権」「取消権」という3つの権利を代行できるようになります。言葉の通り、ご本人である高齢者の方に必要な買い物があれば代理として購入することもできますし、逆に不必要な買い物をしてしまった倍には取り消しをすることも可能です。法定後見人がいれば、高齢者を守ることができるのです。

 

【2】任意後見契約

誰に後見人になってもらうかを、判断能力があるうちに決めておく制度。法定後見契約とは異なり、任意後見人に選定された方はその時点で何かしらの権利が付与されるわけではなく、高齢者ご本人の判断能力が悪くなった際に初めて権利を付与されます。また、任意後見契約は法定後見契約と違って、その権利をより詳細に決められるのが特徴的です。契約時点では高齢者ご本人が元気なわけですから、そこで具体的な契約内容について取り決めを行うのです。

 

後見契約を締結する流れ

後見人が決まると、いずれの制度でも「後見監督人」が設けられ、後見人の業務をしっかりと確認する役割を担います。というのも、後見人という立場を利用して高齢者に対して不当な行為をする例が見られるからです。何か悪いことができないよう、きちんと監督をするのが後見監督人なのです。

そういったことから、一般的に後見人を勤めるのは本人の家族が6割を超えるそうです。中でも子供というのは一番多くなっています。お子さんだからといって、資産を悪用したりということがないとは限りませんが、それでも最も信頼できる人として選ばれます。親族以外ですと、「司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門職の方」が、担当をします。ただし、昨今は成年後見人が不足しているという理由から、「市民後見人」という立場の方の養成が急務とも考えられており、各自治体で講座やセミナーが開催されているそうです。

なお、後見の申し立てにかかる費用は約1万円でですが、法定後見の場合には意志の診断、鑑定が必要になります。このように後見が始まると、預貯金管理や、生活面でのサポートなど、生活、健康に関することを基本的に全て請け負うようになります。

 

制度の問題点

以上が成年後見人制度の概要です。普及に向けてさまざまな問題はありますが、とりわけ昨今問題になっているのは、成年後見制度で後見人に任命された方による不正です。その被害額は年間でおおよそ約60億円と言われています。それが家族だけではなく、司法書士や弁護士などのプロでさえ、不正に携わった事例があるという点が、この問題をさらに大きくしています。

とはいえ、今後高齢化が進むにつれて、ますます求められることになってくるはずです。また、しっかりと利用をすれば、本人・家族にとって強い味方になってくれる制度でもあります。こういった不正行為についての問題が早急に解決され、今後のますますの発展が期待されます。

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。

当サイトでは他にも、成年後見制度、また周辺知識に関しての紹介を行っています。ぜひ、下記の関連記事も合わせてご覧ください。きっと、より成年後見制度への知識が深まるはずです。

サブコンテンツ