成年後見制度とは何か?手続きの流れや課題などについて

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後見人が高齢者の方の財産管理や介護のお手伝いをします

 

老人ホームを選ぶ前にしておきたいことの2つ目は任意後見契約です。任意後見契約とは成年後見制度のなかの1つの契約方法で、親の生前に起こりうる認知症による生活トラブルの予防するために、この契約を結ぶ必要があるのです。

認知症については下記のいくつかの記事に詳しいので、ぜひあわせてご覧になってみてください。

  • 認知症についての概要
  • 認知症に効果があると言われる学習療法とは
  • 認知症高齢者徘徊感知機器の種類と選び方

 

制度の概要

それでは、任意後見契約とはどのようなもので、どんなメリットがあるのかなどを紹介していきます。

任意後見契約とは何か

任意後見契約とは、認知症などで判断能力が不十分になった本人に代わって、財産の管理や介護の手配などを委任する契約です。2000年4月に介護保険制度と同時にスタートした成年後見制度の一つである任意後見制度に基づく契約です。

成年後見制度とは

成年後見制度は、判断能力の不十分な人(認知症を発症した高齢者、知的障害者、精神障害者等)を保護し、その人達が最後まで人間として尊厳を持って生きていくことを支援するための制度です。成年後見という言葉は「未成年後見」(未成年者の両親が亡くなった時に、その保護のために親権者に代わる後見人が選ばれること)に対する言葉で、成年者ではあるが判断能力の不十分である人に後見人を選ぶことでを保護しようとする制度です。潜在的な対象者である要介護者約500万人のうち、現在はまだ20万人程度の利用者ですが、高齢化が進む日本においてはますます必要になってくる制度だと言えます。

成年後見制度は、裁判所の手続きにより後見人等を専任してもらう「法的後見制度」と当事者間の契約によって後見人を選ぶ「任意後見制度」に分かれます。

■ 法的後見制度

法定後見制度は、判断能力が既にないか、また不十分な状態になり、自分で後見人等を選ぶことが困難になった場合に利用されるものです。3つの種類があり、それぞれ「家庭裁判所」によって成年後見人が選ばれます。

  • 後見
  • 補佐
  • 補助
■ 任意後見制度

一方で、任意後見制度は、判断能力が正常である人、または衰えたとしてもその程度が軽く、自分で後見人を選ぶ能力を持っている人が利用する制度です。将来的に自分で物事が判断できなくなる可能性を見越して、代理をしてくれる人を決めておくということです。証明のために任意後見契約書は、法律により公正証書で作成する決まりになっています。
この際には、法的後見制度と違って「家庭裁判所」が大きく関与することはありませんが、専任された「任意後見人」を監督するための「任意後見監督人」を選任して、違法なことをしないか監督することになっています。

なお、これらの情報については、下記の記事にも詳しいのでぜひあわせてご覧になってみてください。

法定・任意後見の概要と、手続きの流れ

 

制度の必要性

ここまでの内容で、はたして任意後見契約は必要なのだろうかと疑問に思った方もいるかもしれません。結論としましては、確かに制度は必要で、ほぼ全ての人が検討すべきであると考えます。若い時には想像もつかないことですが、高齢期になると認知症を発症する確率があがります。85歳以上では、4人に1人が認知症になるとも言われています。

認知症が発症し、進行すると、自分の好意を認知する能力が低下し、財布や預金通帳をしまった場所を忘れてしまったり、しかもそれを悪意はなく、人が盗んでしまったなどと考えるようにもなってしまいます。こうした状態になると、悪徳業者に必要のないものを無理に売り込まれたり、クレジットカードなどをどこかに置き忘れるなどをして、金銭的な被害を被る可能性も否定できません。

このようになってしまうと、自分で財産管理をするということはもちろん、普通に生活することすら困難になってしまいます。こうした状態になった人の財産や人権を守るために成年後見制度、任意後見契約は必要なのです。日本公証人連合会によれば、任意後見契約の件数は、2000年4月にスタートしてから着実に増え続けており、特にここ数年は毎年1万人以上のペースで利用者が増加し、現在では約20万人ほどの方が登記をされているそうです。

財産管理については下記の記事で詳しくご紹介しています。ぜひあわせてどうぞ。

財産管理等委任契約

 

契約から後見開始の流れ

制度運用の流れをご紹介します。

将来の不安を家族などと相談

今は元気ですが、将来的に判断能力を失ってしまった時のことを見越して、任意後見契約について考えていることをご家族などと相談しておくことが大切です。

任意後見契約を締結

まず公正証書として、「任意後見契約書」を作成する必要があります。任意後見契約は公証人が契約当事者の意思を確認した上で法務局で登記されます。任意後見人は、法務局より任意後見人であることを証明する「登記事項証明書」の交付を受けて、委任者からの代理権を証明することができます。
これによって取引の相手方も、安心して本人との取引を行うことができます。登記事項証明書は法務局が発行する信用性の高い委任状という役割をはたすことになり、これにより任意後見人は委任者のために、その事務処理を円滑に行うことができます。

体調不良、判断能力の喪失など

締結後に何らかの不調があれば、任意後見契約の開始を検討します。

家庭裁判所に申し立て

本人・配偶者・4親等内の親族・任意後見受任者のいずれかが家庭裁判所に申し立てをします。家庭裁判所でもらえる、申立書や申立人の戸籍謄本、任意後見契約公正証書などの書類を、本人居住地の家庭裁判所へと提出する必要があります

任意後見監督人の選任

家庭裁判所により、任意後見監督人が決められます。
調査や審問などを経て、4ヶ月程度で決定されます。

契約の開始

任意後見契約は契約締結したからといって、すぐには発行しません。本人の判断能力の低下が著しくなってきたと周りの人たちが感じた段階で、通常、家族や任意後見受任者が家庭裁判所に「本人の判断能力が低下してきており、任意後見をスタートさせたいので任意後見監督人を専任してください」という申し立てをします。
これをうけて家庭裁判所が任意後見監督人を専任した時点で、契約が発効となり、後見人による貢献事務がスタートします。任意後見監督人とは、任意後見人が財産を勝手に使い込んだりしないように、業務内容について任意後見人から適宜報告を受け、監督する役割を担います。通常、弁護士や司法書士などの専門家が専任されます。

 

高まる市民後見人の必要性

成年後見人イメージ

近年、成年後見制度において、「市民後見人」と呼ばれる方々に期待が集まっています。本記事では、なぜそうしたニーズが高まっているのか、また成年後見制度についても、簡単にご説明をしていきます。

 

不足する後見人

上記で成年後見制度の必要性を述べてきましたが、その際に活躍するはずの「成年後見人が不足するのではないか」という懸念が取り沙汰されています。これまでは親族が担うことが多かったのですが、その割合は2011年には約6割だったものが、その2年後には約4割にまで減っており、司法書士や弁護士、社会福祉士といった専門家に後見人を依頼することが増えています。

これには単純に後見人を必要とする人が増えているという理由もあるのですが、それ以上に親族による財産の横領があとをたたないというところによります。なんと、1年間で500を越える例があり、額としては約50億円を超えるというのです。

それゆえ、上記のように親族の割合が減り、専門家に依頼することが多くなっているのです。とはいえ、司法書士や弁護士さんには本業があるわけですから、後見人にかかりきりというわけにはいきません。そのため、将来的な後見人の不足が懸念されているのです。

高まる市民後見人へのニーズ

そんな中、急速に注目を集めているのが本記事でご紹介をしている「市民後見人」です。名称のとおり、親族ではない地域の市民が、後見人を務める制度です。後見人の不足に悩む自治体が最近では積極的に育成のための研修やセミナーを実施しているそうです。

育成の事例

こうした市民後見人の育成を積極的にやっている自治体として知られているのが埼玉県越谷市です。同市は2013年度に、一般市民を対象に養成のための研修制度を実施したそうです。そこで研修を修了した約30人の市民後見人はその後も継続的な研修を行い、2015年には実際に市民後見人としての活動を開始しているそうです。越谷市ほど充実した体制を整えている自治体は決して多くはありませんが、興味のある方はお住まいの地域の市役所などで確認してみてはいかがでしょうか。

上記でご紹介をした親族の方はこうした「後見人」についての研修を受けたことのある方はほとんどいないはずです。そうしたところが、親族によるお金の横領につながったところはあるでしょう。

また、司法書士や弁護士の方などもその道ではプロでも、後見人としては決して熟達しているわけではありません。そう考えると、越谷市で研修を受けた方々は、まさしく「後見人」のプロと言っていい存在です。こうした市民後見人が増えることで、後見人不足やお金の横領等が減ることに大いに期待したいところです。

 

以上が成年後見制度についての概要です。お読みいただきありがとうございました。

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